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子ども奈良CITY
●「子ども奈良CITY」とは
「子ども奈良CITY」は、ドイツのミュンヘンで1979年から開催されている、「ミニ・ミュンヘン」をモデルとしています。
2018年度に初めて開催し、今日にいたっています。
「ミニ・ミュンヘン」は2年に一度、8月に3週間開催される子どもが運営する「小さな都市」です。
実際のまちと同じで、様々な職種があり、税金を支払い、選挙もあります。
この仕組みを作るのも運営するのも子どもたちです。
子どもは、この「まち」で日常世界の一部を再現し体験することで、実際の社会と結び付けていきます。
これは、子どもは一人の市民であり、社会に主体的に関わる権利があるという教育学者ロジャー・ハートの子どもの「参画のはしご」の最上段階にあたります。
子どもの学習への興味は机の上だけではなく、むしろ「本当の世界」との関わりから生まれるのです。
子どもの「知りたい」気持ちを尊重し、発展させる意味で学習の一環として、近年、日本だけでなく世界中で「ミニ・ミュンヘン」をモデルとした事業が開催されています。
●「子ども奈良CITY」の最大の特徴
「子ども奈良CITY」の最大の特徴は、高校生・大学生たちで構成される「子ども奈良CITY作戦会議」が中心となり、1年間を通して企画・準備を進めています。
また、「子ども奈良CITY」にある職業やお店のリーダーとなるのは、小学4年生から中学生までのリーダーたちです。
当日参加の子どもたちをアルバイトとして雇用して、まちを運営します。
日本でも、ミニ・ミュンヘンをモデルとした活動事例はたくさんありますが、高校生・大学生が主導して進めている例は珍しいものです。
子どもの自主性・主体性を重要視するため、あくまでも、おとなは子どもたちの活動を見守りながら、支援や助言が必要な段階まで待つことに努めています。
時に、おとなは結果を求めるあまり焦ることもありますが、子どもたちの可能性を信じて待つことはとても大切だと考えています。
●「子ども奈良CITY」の構成について
○子ども奈良CITY作戦会議(高校生~概ね22歳)
「子ども奈良CITY」をどのような「まち」にするか構想を練り上げる「作戦会議」を行い、税金のしくみや政治、公共、インフラなど、「子ども奈良CITY」の根幹となるまちの仕組みをつくっています。
「子ども奈良CITYリーダー作戦会議」の進行を担うのも彼らです。
小学生が中心のリーダー作戦会議メンバーの様々な思いをくみ取り、彼らの自由な発想を具現化していきます。
○子ども奈良CITYリーダー作戦会議(小学校4年生~中学生)
「まち」に実際にある職業やお店のリーダーとなって、当日までの準備や当日の運営をします。
2019年は、市役所(選挙管理委員会)、ラジオ局、銀行、観光案内所、ネイルサロン、服屋、動水昆(動物水族昆虫館)、宝くじ、ゲームセンター(ガチャガチャ、エアホッケー、クレーンゲーム)、プログラミング教室、レストラン、カフェなどがありました。
メンバーのなかには、2019年度の「子ども奈良CITY」を当日の参加者として体験し、今年は自分も企画したい!とリーダー作戦会議に参加した子どももいます。
☆感想☆
「子どもだけでつくった街なので、子どもにまかされることが楽しかったです。来年も来たいです。おもしろい大学生や高校生がいて面白かったです。(中略)何でも仕事ができるのがすごいです。説明がわかりやすかったです。ありがとうございました」(小学5年生)
○子ども奈良CITY 市民(当日参加者・小学生)
当日のみの参加者です。
「まち」で働いたり、働いて得たお金(擬似通貨)で「まち」の中で遊んだり食べたりして自由に過ごします。
2019年度から2日間開催していますが、参加できるのはどちらか1日のみです。
例年、600人を超える申込があり、2019年度は2日間で延べ460人の子どもたちが参加しました。
☆感想☆
「お父さんやお母さんがどんなふうに仕事をやっているかをわかってすごく楽しかった」(小学3年生)
「子どもだけの町で、バイトとかも子どもができるから楽しかったです」(小学4年生)
「お金とかを自分で働いて使って、大人になったみたいで楽しかった」(小学5年生)
☆保護者ツアー参加者の感想☆
「高校生がリーダーシップをとって、遊びではなく本格的な運営に取り組んでおられるように感じ取られました」
「子どもが楽しそうで何よりです。仕事をしてお金をかせいで、いろんなことをして楽しむ!!Good idea!!と思います」
「みんな、楽しそうだった」
○おとなサポーター
「子ども奈良CITY」の趣旨に賛同いただける方で「作戦会議」や当日の運営のサポートをするボランティアメンバーです。
●目的
「子ども奈良CITY」で何よりも大切にしていることは「子どもの主体的学び(遊び)」です。
誰かに強いられるのではなく、自ら考え、学び、実践するという「主体的学び」を通して、子どもたちは自分が社会の一員であること、社会参画することの意義を実感できるのではないでしょうか。
そして何よりも「楽しむ!」こと。
子どもたちは「楽しい」を通して「学ぶ」ことがたくさんあります。
「楽しい」ことには「我慢」もできます。
おとなには一見、脈絡のない「遊び」に見えることから、彼らはたくさんの「発見」と「学び」をしているのです。
2019年度の参加者のアンケート集計結果では、「また来年も参加したい」という声が99%にのぼりました。
「作戦会議」に参加した小中学生からは「去年よりいい活動ができた」「子どもにまかされることが楽しかった」など、子どもたちだけで活動すること・創り上げることに達成感を得た喜びの感想がたくさん見られました。